スタートライン~私と先生と彼~【完結】


「ごめんね。この前は帰ってきたのが遅くて・・・」

「気にしないで」


クスッと笑いながら、言ってくれたことに心の底から安心した。


「さっちゃん、これ」


用意してたのに渡せなかったクリスマスプレゼント。

さっちゃんに似合うだろうと思って選んだピアス。

控えめな水色の飾りがついているもの。

絶対に、さっちゃんに似合うと思って買ったんだ。気に入ってくれたらいいんだけど。


「何?」


さっちゃんは首を傾げて、俺に聞いた。

この仕草がまた可愛い。


「クリスマスプレゼント」

「えっ?」


さっちゃんは目を丸くして驚いていた。

そりゃそうだろう。

クリスマスを一緒に過ごすこともない”ただの”友達からプレゼントなんて・・・・・・しかも、女性なら、この箱を見たら中身はアクセサリーだと気づくだろう。


「ごめんね。遅くなって」

あくまでもさりげなく言う。

「ありがとう。でも私、何も用意してないし」


そんなんどうでもいいんやで。


「ケーキもらったやん」


「でも・・・」


申し訳なさそうに眉をひそめる彼女を少し困らせたくなってしまった。


「さっちゃんが俺に持ってきてくれただけで嬉しいから」

「・・・・・・」


ほら、顔を真っ赤にして困ってる。

その表情を見れただけで、満足し、彼女を許してあげることにした。


「なーんてね」


と俺は冗談にした。




君の中にはまだ俺よりも多く存在している男がいる。

でも、俺のことを見てくれているのも確かだ。



多く作り過ぎた料理、あれも俺の食生活を考えて多めに作ってくれてること。


ケーキをわざわざ持って来てくれること。


なんとも想っていない男にそんなことをする子じゃないもんね。



だけど、もう少し。俺が占める割合があいつを越えるまで。


へたれな俺にもう少し時間をください。







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