スタートライン~私と先生と彼~【完結】


******


「なんでケーキなんて一緒に作りたいの?」


ケーキ作りの準備をしながら、さっちゃんが不思議そうに聞く。


「あかんかった?」

「別にいいけど・・・・・・」

やっぱり、高いお店でディナーなんていうのがいいのかな?


「卒業してさ、稼げるようになったら、高級ディナーでも食べに連れていってやるよ!」


「はいはい。ありがとう」


あれ、違ったか?


さっちゃんは手際よく、ケーキ作りに取り掛かる。


「へ〜すっごいなぁ」


俺も邪魔をしない程度にお手伝い。

さっちゃんの料理する姿を見ていると、抱きしめたくなってくる。

しかも、甘いケーキを作ってると、気分まで甘くなってきた。


「さっちゃん・・・」

俺が抱きしめようとすると・・・。


「隆!飾り付けするで!」


「は、はい!」


俺は甘い世界から引き戻された。

ケーキと夕飯が出来て、俺らはテーブルを囲む。


「うまそ〜!」


今日はクリスマスらしく洋食。


「我ながら上出来!」

「さっちゃん、うまい!」


さっちゃんは和食だけではなくて、洋食も中華も上手に作れる。

デザートのケーキまで食べて、満腹になった俺は、甘い世界に入ってしまった。


「さっちゃん・・・おいで」

さっちゃんを隣に座わらせる。

「これ、プレゼント」


さっちゃんは、ゆっくりと箱を開ける。


箱を開けるとすぐ「うわぁ、かわいい」と喜んでくれた。


バイト代が入ったから奮発したネックレス。

トップにはハート型の飾りが付いたものを選んだ。

これが一番さっちゃんに似合いそうだったから。


「付けてあげるから、後ろ向いて」


さっちゃんの髪を軽く束ねて、うなじが見えるようにした。

白くてきれいなうなじが見えただけでもドキドキしていた。

留め具を留めると、彼女を後ろから抱きしめた。


「さっちゃん・・・」

抱きたい。


「あっ、ちょっと待って!」


「へ?」

待てないよ。

「これ、プレゼント」


用意してくれたんや!何やろう。


俺は袋を開けた。中にはマフラーが入っていた。


「あっ、マフラー!これって手編み?」


一瞬、買ってきてくれたのかと思ったが、マフラーを袋から取り出した瞬間、手編みのような気がしたんだ。


「一応ね・・・」

「マジで?めっちゃ嬉しいし!」


さっちゃん俺、手編みのマフラーなんて初めてやし。


早速、マフラーを巻いて、ニヤニヤしながら鏡の前で満足していた。






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