スタートライン~私と先生と彼~【完結】
目の前にいる原田は、緊張しているようだった。

不思議だ。教師と生徒の関係では、こんなふうに食事に来ることさえ許されないのに、同僚になった途端許されるなんて。


「ここさ、友達の兄さんが働いてて、よく来るんやけど、うまいで!」


なんとか場を和ませようとする。

「へ〜彼女と来るんですか?」

原田は周りを見渡しながら、笑顔で言った。


「もしかして、詮索?俺、彼女いてないし」


「そうなんですか」


原田は俯きながら言った。


俺は、4年間聞きたかったことを聞こうとした。



「なぁ原田、お前さ卒業式の時、何て言おうとしてた?」


「あ、あれは・・・」


原田は俯いて言葉を詰まらせた。


「いや、やっぱり俺が言うよ」


原田の言葉を遮るように俺は付け足した。


原田を初めて見たときから気になっていたこと。


気付いたら、好きになっていたこと。

でも教師と生徒の関係は壊すわけにはいかず、気持ちを伝えずにいたこと。

俺は原田から目を話さずに続けた。

俺の思った通り、卒業式に原田は、俺に告白しようと思っていた。

やっぱり同じ気持ちやったんや。


俺は一言、一言大切に話した。

原田は真剣に聞いてくれている。


「俺はこの4年間、お前の事を忘れることはできなかった。


目の前にお前が居なくなって初めて気付いた。

やっぱり、俺は原田の事が生徒としてではなく、一人の女性として好きなんやと・・・」



俺が4年間想い続けていたことを全て打ち明けた。

俺がこれまでの想いを伝えた後、原田はこんな話しをしてくれた。

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