♀ my prince ♂


【未亜 side】




「ぁ…」


私が部屋から出ると…リビングで玲央くんが立っていた。



「玲央くん…夏凛ちゃんと亮くんは?」


そんな玲央くんに段々と近づいていく。



「あぁ~…二人でどっか行ったよ」



「えっ…!?あっ…そうなの…?」


すぐ目の前で止まった所で聞かされた事実。
それに一瞬、息が止まるかと思うくらいビックリした。



「うん。」




ドキドキドキドキ…ッ




っていうことは…玲央くんと二人っきり…?
どっ…どうしよう…?急に緊張してきた…。




二人っきりだと理解した瞬間どうしていいのか分からなくなる。



「…ねぇ、未亜ちゃん」



「へ…っ!?」


すると…急に名前を呼ばれて私は素っ頓狂な声をあげてしまった。



「好きな人……いる?」


だけど玲央くんは真剣な顔つきをしてそう聞いてくる。



「えぇっ、と……」




きゅ、急にそんなこと言われても…。
私の好きな人は…今、目の前にいるのに…。



どう答えていいのか迷って目を泳がせてしまう。



「……いるんだ?」



「ぅ…うん…」


そんな私を見た玲央くんは何かを察したらしい。
だから私は素直に頷いた。



「そっか。実はさー……俺にもいるんだよね」



「え……?」


玲央くんの言葉に驚き目を見開く。




玲央くん…好きな人、いるんだ…。




「でさ、今日最終日じゃん?だから……言おうと思って」



「へっ…!?」


そんなことを聞かされた私は…胸騒ぎが起こるのを感じた。




やだよ、そんなの…っ!!


相手が玲央くんだったら…絶対OKに決まってるじゃん…。
私だって…玲央くんへの“好き”が…もう止まらないのに…。




「で、俺の好きな人って…―」




やだ…!聞きたくない…っ!!!!




両目をギュッと閉じ両手を耳の方に持っていき耳を塞ごうとした…



その瞬間…――。





< 46 / 203 >

この作品をシェア

pagetop