♀ my prince ♂




……?




『…里原くんのファンがいるらしいの』


そして…小声でそう言った。



「え…」



「だから…何か仕掛けるんじゃないかと思ってて」



「そう、なんだ…」




何か…そんなこと聞いちゃったら…っ




「急に不安になってきちゃった…」


夏凛ちゃんから聞いた話で一気に不安な気持ちでいっぱいになる。




玲央くんのファンの子たちは…私のことをよく思っていない子たちが多いと思うから。
だから私に嫌な思いをさせようとしてる子もいるって夏凛ちゃんが前に言っていた。


だけどそれが玲央くんにバレようものなら…もう話してもくれなくなるかもしれない。
それもあって自分たちの手を汚さない方法を、この学園祭で仕込んでくるのかも…。




「でもね?その時間…当番の時間と被ってるんだ…」



「え…!?じゃあ見れないの…?」


夏凛ちゃんの言葉に目を見開いた。




本当は見ない方がいいのかもしれない…。


だけど、学園祭のメインイベントである話なんて…
すぐに噂が広まって私の耳にも届いてしまうだろう。




「ん~…最後の方は見れるかもしんない。だから…終わったらすぐ行こ?」



「うん…」






―それから一週間後。


最終審査に残った男女各3名の名前が発表された。
その中には当然のように玲央くんと亮くんの名前もある。



だけど私には…半ば、こうなることが分かっていたような気さえする。
っていうか…玲央くんが残らないとか有り得ないでしょ!?ぐらいに…。


それと同時に…不安だって増していった。



玲央くんが優勝しちゃった時のことを寝る前に想像する。
もちろんそれは嬉しいと思うことだし…嫌な訳じゃない。


玲央くんの隣で肩を並べる“女の子”
彼は“その子”と…何をするの…―!?


そこで怖くなって、いつも想像は途切れてしまう。




ねぇ、玲央くん…。


誰にも振り向かないで…?
私だけに…“特別”でいて…?





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