恋愛妄想族
「だから、聞いてる?」
 
「…あ。はい」
 
「今日から入る子?」
 
「桜 香織って言いますっ!“桜の香り”って覚えて下さいっ」
 
「あ…はぁ。…で、制服貰った?」
 
「いえ」
 
「じゃ、ここから自分のサイズの見付けて着て」
 
 
ロッカーの上に、段ボールが3つ。
そこにマジックで
“S”“M”“L”
と書いてあった。
 
…なんなの、このチャチさ。
 
取り敢えず、Mの箱に手を伸ばし、取ろうとしたけど、たわない。
いや、かおりん156あるし、小さい訳じゃないんだけど…
ロッカー高すぎやしませんか?
 
必死にジャンプして箱の角に手が届いて、少しこっちに出て来たけど、たわない。
 
“椅子に立ってしまえ”
 
と、椅子を抱え、乗りかけた所で
 
 
「取ろうか?」
 
 
と言われた。
 
その手があったか!
やはり頼りになるなぁ…このイケメン。
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