いつか見つけてね2



美穂が旅立ってからは俺はまさに仕事以外ないのかというほど没頭していた。


最初の一週間は美穂が行く前に仕事を減らしていた分のつけが回ってマンションに帰る暇がないほどで美穂のことを考える時間もなかった。


会いたいなんていうと美穂を困らせるんだろうなと思えるようになったのは2週間ほどしてから。


父さんから母さんの手術が成功したと連絡があったのがそのあたりで少し気分的にも余裕が出てきた。




アンディとの仕事と自社の仕事の掛け持ちは今の俺には美穂を考えて寂しくなる時を与えないぐらい忙しくて俺にはありがたかった。


自社の仕事は妹尾を介して、アンディとの仕事はまりなを介して行われていたので

この二人はお互い秘書でありながら、二人の社長のもとで仕事をしているようなそんな不思議な感覚でいると言っていた。


たまに、アキラとケインと一緒に飲みに行くと


「あんた、仕事ばっかりしないで少しは息抜きも必要よ?」

と優しい声をかけるアキラに少し戸惑うこともあるが


「美穂が帰ってくるまでには落ち着いておかないとな。」

これは本心で軌道に乗せておけばあとは遅くまで仕事をしたりすることは無いだろうと思う。







美穂との連絡はお互い時間が合わないのでメールのみになっていた。






美穂があっちで史也とタミーと過ごして楽しそうな様子だったけど、お母さんの病院に付き添うようになってからメールの返事が減ってきた。


多分忙しいんだろうと思っていろいろ詮索するのも嫌だったので俺からのメールはあんまりしなくなった。






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