いつか見つけてね2
**バーにて

久しぶりに会社に戻ったアキラが岳斗を見つけて飲みに行った。

おしゃれなショットバーは隠れ家的な佇まいで、人目を気にせずにゆっくりと飲んでいる二人。


「アキラさんいつまでケインの手伝い続けるつもりですか?

早く新しい人見つければ会社に戻れると思うんですけど。



いや、俺はいいですよ。

別に今は親父も現役で会社がどうこうっていうの関係ないからいつでもお手伝いしますが。」


「わかってるんだけどね。

なんかあいつと一緒にいるのすごく落ち着くんだよね。」


「そうなんですか。

アキラさんとケインお似合いだと思いましたよ、あのパーティーの時もでしたが、大晦日のエミの部屋でも。

羨ましいです。」


「どこが?

アイツはセレブ達に囲まれて仕事して、私のことなんてただの起業家のひとりとしか思ってないよ。

女としては見られてないっていうか、

今はこうやって手伝ってるけどね、多分恋愛感情は無いに等しい。


今なんてルームシェアしてる。

ケインのマンションの前で工事が始まってうるさくて眠れないってさ。

全く、私も女だっていうのに。


それより、岳斗、エミなんて自分だけの呼び名使って、あんたも切ないね。」


アキラは岳斗の片思いに気付いている。

「俺は、ずっとエミの事見てきて、あいつが幸せならいいんです。

でも、兄貴がエミ悲しませるようなことをしたら容赦は無いですけどね。」

そういう岳斗の目はウオッカを見つめていた。


「史也さんとも約束したんです。

アイツを置いていくの気がきでなかったけど、今は安心して行けるって。

俺と兄貴がいるから大丈夫だって、」


そういう岳斗の顔は複雑だ。

一気に大人にされて恋愛感情をどうコントロールしていいのかわからない様に。

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