壊れたココロ


最近では、海斗が作った手作りのテスト問題を解くと勉強終了となるのが日課となっていた。


「よしっ、今日は終わり。」


海斗はあたしの解いたテスト問題をその場で採点することなく家に持ち帰り、次に来たときに間違えた部分を細かく教えてくれていた。


おかげであたしの成績はみるみる上がっていき、ギリギリだったS高も、今では合格ラインに入っていた。


陸さんにも勿論感謝していたが、ここ最近色々と迷惑をかけながらも毎日通い続けてくれている海斗には凄く有り難さを感じ、ひそかにあたしはお礼を兼ねて少し前に海斗へスポーツタオルを買っていたのだが、なかなか渡すタイミングがつかめずに机の引き出しの中にしまいっ放しにしたままだった。


勉強が終わると、今日こそは渡そうと思うのだが、いざその時になると海斗相手に照れ臭くなりいつも渡しそびれる。


そして今日も結局渡せずに海斗は帰ってしまった。



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