【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?


「みな、と……? なに、言ってるの……?」


やっとのことで出した声が、頼りないほどに掠れている。


「そのままの意味だよ」


湊はまったく目を合わせてくれない。


湊、こっちを向いてよ……。

寂しいじゃない……。


「なんでそんなこと、急に……」


「やっぱり、こんな結婚間違ってた」


「え……?」


湊はそこでやっと顔を上げ、私の顔を見てくれた。

だけどその瞳には、一瞬の揺らぎも見えなくて。


「あんたは、自分が選んだ本当に好きなやつと結婚した方がいい」


「湊……」


顔から、サァ……っと血の気が引いていくのがわかる。


「亜瑚のこと、俺じゃ幸せにできない」


「なん……で……?」


「俺は亜瑚のことを……誰のことも、愛せないから」


『愛せない』。その言葉がズキンッと胸に刺さる。

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