【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?
「えへーっ。まぁ」と頭をかいて照れたその時、駅に停車した電車のドアが開いて、たくさんの人が乗り込んできた。
うわ、人が多すぎて潰される……!
人混みに流されそうになっていると、どこからともなく伸びてきた湊に腕を引かれ、私は電車のドアと湊の体の間に収まった。
湊に守られるように囲まれ、誰ともぶつからなくなる。
「ほんと、危なっかしい」
ため息交じりの声に顔をあげれば、ドアに手をつきこちらを見下ろす湊の視線と視線とが交じり合う。
電車が混み合っていることもあり、密着せずにはいられない距離にドキンと心臓が揺れる。
「守ってくれて、ありがとう」
緊張をこらえてそっとお礼を告げれば、湊がなぜか気まずそうに斜め下へ視線をそらした。