レヴィオルストーリー



壁、床、天井。



全てが真っ白なその場所にアレンはいた。


その広間のような円形の場所の真ん中にある、やはり白い円形の台座。

その円の中央にある、7色に光る虹色の岩をじっと見つめる。

そして、その真ん丸でツルツルした表面を撫でた。


「…何も…変わってない…。」


あんなことがあったのに。

変わったのは、この岩だけだ。


窓の外を見ると、今はちょうど夕日が綺麗な頃。


(…レイが丘の上から見たかった夕日をここで見るなんてな)


ぼんやりとそんなことを考えた。




「…アレン」

一人だったのに、急に声が聞こえた。

綺麗な、澄んだ声。


振り返ったアレンは少し驚いた。

「…レイ」


その後ろからは、ギルクが来る。

灯台の長い螺旋階段をイルを背負って登ったようだ。


「アレン、…ここって?」

軽く息切れしながらギルクは聞いた。


「…南の塔」


静かに答えたアレンは再び窓の外を見た。


下ろされたイルはアレンをじっと見る。

その瞳に、微かだがいつもはない哀しみが宿っている。



(…親の墓、ってあの怖いオジサンは言ってたわよね…?)


頭の中で考える。

あれから、アレンはすぐにここに来た。


この灯台が関係しているのは間違いなさそうだ。


「…アレン」

レイが窓に肘をついたアレンの横に立つ。


「……何」

「夕日、綺麗ね」


いきなりそんなことを言い出したレイに、アレンは一瞬ビックリした。

が、頷いて。


「うん…綺麗、だ」


そう言うと俯いた。



< 176 / 394 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop