レヴィオルストーリー

21.過去



外では大雨が降っている。

風がびゅうびゅう吹いて、窓がカタカタ鳴っていた。


『アレン』


さっきまでいなかった誰かがアレンを呼ぶ。

凛としたよく通る声。


その人物の存在にまだ気付いていなかったアレンはその声にビクッと反応した。


一瞬固まった後、ゆっくり振り返る。


「………あ…」


茶色い腰まである長い髪。

誰もが魅了される完璧なスタイル。

綺麗な美しい顔立ちのその女性は、アレンと同じ澄んだ碧の瞳をしていた。



『お母さん!』

急に幼い可愛らしい声がした。

レイが振り返ると遺跡で見たような小さな男の子が駆け寄って来る。

「…子供アレン…」


それは遺跡で時間を戻されたときの子供アレンだった。

満面の笑みで母に駆け寄る。


「…うぎょえ!?」

走ってくる子供アレンが自分に突っ込んでくるのを見てギルクは変な声をあげる。

「……うぎょえぇええぇ?!」

更にギルクは叫んだ。

「体をすり抜けたぁ!?」

突っ込んで来た子供アレンはギルクにはぶつからず、その体をすり抜けたのだ。


「幻影だわッ」

イルの声にギルクは首を回してそちらを見て、「ゲンエイ?」と繰り返す。


「妖術師の力よッ、これ、ビーンがしてるんだわ!!」


『今日は嵐ね。…しばらく家には帰れなさそうだわ』

茶髪の女性は呟いた。

幻影なので、あちらにはレイ達は見えていない。



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