レヴィオルストーリー
34.覚悟
ふかふかの布団、ふかふかの枕。
ベッドの上で、アレンは目を覚ました。
「……ん…?」
白い天井が見える。
前髪が目にかかっていた。
それを払いのけ、眩しさに腕で目を覆う。
「アレン」
横から声がして顔をそちらに向けると、レイがアレンを見下ろしていた。
「…レイ?俺…」
少し考え、自分が意識を失ったのを思い出した。
同時にさっきの出来事も。
「ギルク!」
飛び上がるアレン。
そこで動きにくいことに気が付いた。
「…え?あれ…」
自分の右腕と、右肩から背中にかけて包帯が巻いてある。
レイの足にも同じものがあった。
「ヴァンヌさんが治癒魔法で治してくれたんだけど、怪我が酷すぎて。傷は治ったけど痛みはまだ少し残るって言ってたわ」
「ヴァンヌさん?ここって…」
「あの宿よ。あと、ギルクは大丈夫だから」
そう言ったレイはアレンがほっとため息をつくのを眺めた。
「…ありがとう、アレン」
「…え?」
急にお礼を言われて少し戸惑う。
「助けてもらったお礼、まだ言ってなかったでしょ?」
可愛く笑うレイを見て、アレンは誰にもわからないくらい微かに頬を染める。
(…そういえば俺、お姫様抱っこしたような…。)
前だったら平気だったのに、今はかなり恥ずかしい。
(うわあぁ俺やっぱり病気だ!心臓やべぇ)
鈍すぎるアレンはそんなことを考えて思わずレイを見つめていた。