レヴィオルストーリー


そうしているうちに、山の斜面がなだらかになってきた。

前方に、街が見えはじめる。



「…あれがノスラムシティ…」

「真っ黒ね…」



アレンが街を凝視する隣で、レイが眉を潜めて囁く。



地面が、樹が、民家が。

真っ白な筈の四大角塔の一つ、北の塔が。

そして、本来なら街庁があるはずの街のど真ん中にそびえ立つ、細く高い城も。



全てが黒一色に、染まっていた。



「…薄気味悪ぃ…」

陽気なギルクもこれには顔をしかめた。

イルがぴったりとその腕に張り付く。


「街で休憩はできないですよ。魔王様の配下は民家に住み着いていますから。このまま城へ行きます」

シリティーがそう説明するなり、コニスが魔法でアレン達をロープで縛る。


「本当にこれで行くのかよぉ」

ギルクは少し嫌そうに嘆いた。

「緩くしてあるから俺が魔法を解除しなくても抜けれるさ。ちょっとの我慢だよ」

「ほらほら、みんな気絶したフリ!!」


イルがそう言いながら宙に浮く。

アレンとレイ、ギルクも、地面から足を離した。


今度はシリティーの魔法で、四人を空中に固めた。


「では、しばらくぐったりと死んでてください」



シリティーの超難題な命令に、四人は懸命に従う。




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