レヴィオルストーリー

イルが目を閉じると、杖の周りに魔力が集中する。

見えないけれどかなり大きな力だ。


「………。」


彼女は目を開き、杖を軽く一回振った。

その途端、目の前にホログラムのようなものが現れる。


「おお!!イルの『実体幻術』だ!!」


「じったいげんじゅつ?」

騒ぐギルクにアレンとレイは首を傾げた。


「この魔法はね、遠くとかにある実体を幻術として近くに映し出せるものなの。」

イルが得意げに話す。


「へー、あんな遠くのまでいけんのか」

「まぁ、魔力が大きいほど…ってとこかな?」

「イルはすごいのね」


話し込む三人。


「…あの~、ほら、船、運航中止ですけど…?」

一人入り損ねたギルクが悲しそな顔で三人の輪の中に入り込んだ。


「あ、そうだった…。でも、どうする?」



少しだけ相談した後、結局は考えていても仕方がない、ということでとりあえず河に行くことに。


そして、その肝心な河は…。


 ………………。


「…やばいわね。」

レイがぽつりと呟いた。


河は流れがかなり急で速く、まるで横向きの滝のようだ。
いつもなら、ゆるやかな流れのおだやかな河なのに…。


「おかしいな…。」

「これじゃ渡ろうにも渡れないわね。橋も見当たらないし…。」

考え込む美少年と美少女が2人。



「あのさ、もう泳いでいかねぇ?」


そんなギルクの言葉に、バッと考え込んでいた2人が振り向いた。


「ギルク、おんぶしてねー♪」


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