たゆたえども沈まず

手すりに身体をもたれて、腕を組む姿が様になっている。私は昼下がりの外の風景に視線を逸らした。

午後から授業があるのに、逃げてどこかへ行きたくなってしまう。

「前から思ってたけど、クキが自分から連絡すんのはのんちゃんだけだよね」

「そうですか?」

「間違いなく。自信を持って言える」

「…そうだと良いなあ」

少し笑う。プリンス先輩はそれだけ言って、非常階段を下りていく。挨拶をせずに、私は上った。





この学校で、久喜のことを知らないのは一年生と転入生くらいだと思う。
同学年や先輩の間では素行が悪いことが有名で、教師の中では多分、久喜のお父様が名の知れたお金持ちということが有名だった。



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