小児病棟
「ワッセ!」

「ワッセ!」

「――ここが、あんなに深いんだな……」
 
正哉は、泳ぎながらさっきの先生が言った事を思い出した。自分の下は、電信柱くらい深いのだ、と思うと、いくら泳ぐのが得意な正哉でも少しびびっていた。

「ワッセ!」

「ワッセ!」
 
二列の水泳棒は、沖のブイをまわり、オイルフェンスの内側を進んでいた。

「おい! ここが折り返し地点だ! もう半分過ぎたぞ」
 
先生が、みんなを励ますように言った。みんな、気合を入れ直して腕をかいた。

「あっ!」
 
突然、裕二が声をあげた。

「どうした? 裕二」
 
横を泳いでいた正哉が裕二のほうを見た。

「足が……」
 
裕二は、そう言って近くのオイルフェンスにつかまった。
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