小児病棟
「婦長さん!」

「なあに…いったい、なんの騒ぎ?」
いきなりすごい剣幕で乗り込んできた悟に対し、婦長さんは冷静に受け答えをした。しかし、そんな婦長に、悟は鼻息も荒く

「誰かが正哉のミニカー盗んだんだ! みんなの持ち物検査してくれよ!」

と、詰め寄った。

「でもねえ、盗んだっていう証拠もないでしょう?」

婦長は、熱くなっている悟を、諭すように言いふくめる。

「だって、誰かが盗まなきゃ、なくなるわけねえじゃん!」

しかし悟の鼻息は収まらない様子だ。

「まあ、とにかくあとでちょっとみんなに聞いてあげるから。今は部屋に戻ってちょうだい」

婦長さんは正哉と悟の背中を押し、廊下に出した。
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