小児病棟
「じゃあ、まずはこれから。これは?」
 
正哉が悟に問う。悟は、指を自分の口へと運ぶ。そして、ぺろっと指先の歯磨き粉をなめ

「うーん、これは……裕二のかな?」
 
と、首をひねりながらも答えた。

「おー正解! じゃあこれは?」
 
正哉は違う種類の歯磨き粉を悟の指につけた。悟は、指を口に近づけると、匂いを嗅いだだけで

「これは簡単だ! 俺のだ!」

と、即答した。

「自分のじゃあわかって当たり前だよー」
 
裕二が悔しげに言った。

「正解! じゃあこれは?」

「お! これうめえ! バナナ味だ! 慶一のだな」
 
「当たり! じゃあ最後ね」
 
正哉が悟の指先に四つ目の歯磨き粉をつけた。

「あとは正哉のヤツしか残ってないもんな! S社のなんとかってやつ!」
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