呉服屋の若旦那に恋しました
ばたんと扉が閉まり、私はアトリエにひとりぼっちになった。
残されたのは思い出のかけらたち。
私は、1枚1枚懐かしんで、丁寧にアルバムにしまっていった。
「お母さん美人……」
なぜ私はお父さんに似てしまったのだろう……。
私は遺伝子を心の底から憎んだ。
「あ」
お母さんが私を抱っこしている写真のしたに、志貴が私を抱っこしている写真を見つけた。
赤ちゃんの私を抱っこしている志貴…。
その写真を見て、私はなんだか不思議な気持ちになった。
生まれた時の記憶なんてもちろん無い。でもここに、生まれたての私を抱いている志貴がいる。ここに時が刻まれている。
写真を捲るごとに私は大きくなり、歩けるようにまでなっていた。
藍ちゃんはこの頃は今よりもずっと明るい表情をしている。
幼い頃の自分を見るのは、自分の知らない過去を見るのは、なんだかわくわくする。
「志貴かわいい……」
小学生の志貴は、目がくりくりしてて、今より少し丸顔ですごくかわいかった。
小学生の志貴と手を繋いでいるちっちゃな私。
志貴と写っている時は、私は必ず志貴と手をつないでいた。
「………」