お姫様を捜す前に


――暴力が始まったのは、中1のときだった。



私と伊織と歌月はいつも一緒で目立ってたから。

呼び出された時は、思春期にありがちの妬みかと思った。


『伊織さまから離れてよ。

妹がいるの』


でも違った。


『だから何?』


意味がわからずそう聞くと。


『知らないの?
そっか、アンタ…小1の時だもんね、越してきたの。

この村にはね、決まりがあるの。


白龍家の兄弟は、子供を作らなきゃならないんだよ』


『えっ――?』



気がついたら全身ボロボロの自分がいた。


その辺りから、私は必死に白龍家について調べ始めた。


伊織は、私が掟を知ってる事を知らない。


だからいつまででも隠すつもりなんだ。



この気持ちは。




「くっ…あ…」




お腹が痛い。


アザになってるな。



人がいなくなったのを見計らって、起き上がる。


…終わった。


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