ラブレター2

二回目…

雨が降っても、関係無いよ。と、言っているアスファルトとは正反対の、柔らかい公園の赤土には、確かに足跡が二つ残されていた。

まだ、晴れた。とは言えない、夜の空を見上げて、僕は、あいの手を引いた。

おかしな関係。とは、思った。

だけど、隣りで笑うあいが可愛くて、繋いだ手が嬉しくて、これを恋と呼ぶらしくて。

彼氏。と言う肩書きなんていらなかった。

自分にも、都合がいいだけなのかな。

今は、ただ、笑っているあいと、ずっといられる。と思うと、曇る空に、勝ち誇った笑顔を見せていた。

「ゆうくん。」

不意を突かれ、笑いながら、僕の声を呼んだあいの体を、僕の左手が連れてきた。

また、僕達を引き裂く、あいの家へ通じる階段の前で、いつもより、長いキスをした。

僕の変な癖の一つが、キスをしている最中は、何かを掴まないと、落ち着かないこと。

昔も今も、彼女達の前では、ダサいから。と思い、その行動を抑えていたが、あいの前では『自分』でいられた。

あいを抱き締めていたり、あいの服を握っていたり、あいの胸を触っていたり。

それでも、受け止めてくれたあいが、嬉しかった。

自分から、人に何かをしたことがない。

恥ずかしい。とかの感情が出てしまい、いつも相手から、何かを貰ったり、されたりだった。

ただ、あいの場合は、変な関係。ということもあり、自分の全てを出していたことに気付く。

「お前は、レアな存在なんだぞ。」

「ん?」

繋いでいた手から、離れていたあいが、笑いながら、何?と聞いてきた。

慌てて、何でも無いよ。と言ったが、あいは、また笑って、何それ?と言った。

誤魔化す為だったのか、

「おやすみのチューは?」

と、階段の一段目に上がりかけたあいに、言った。

「さっき、したじゃん。」

と、あいが言うと、タイミング良く、ナナちゃんが、また、吠えてきた。

「ならいい。」

と、怒ったように見えるのだろうが、甘えているんだよ。

笑顔のまま、一段目に立っていたあいが、二段目に行かないことを確認して、少し背伸びをして、キスをした。

これを、当たり前。に感じてきていた、蝉の声が消えかかった、初夏の終わり。
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