世界の隅
お風呂から上がり、腰まで伸びた髪をワシャワシャと歩きながら拭いているとこちらに背を向け、月明かりを頼りに本を読んでいる静香がいた。
そろりと近づけば、随分と集中しているようで中々気づかず声をかければほんの少しだけ肩かが揺れた。
とゆうか、よく目悪くならないなぁ。
静「なんだ、美希か…」
『何読んでたの?』
静「歴史物だよ」
ほら、と表紙を見せてもらったが本をよく読む私でも難しいような感じだ。
いつの間にか眉間を寄せて真剣に見ている私に静香はクスクスと笑っていた。
『笑わないでよ』
静「つい、ね。…髪、拭いてあげるから前に座って」
『ん』
静香の前に腰を降ろし、タオルで丁寧に拭いてくれてるから心地がいい。そうゆうことをしてもらっていると人間の性なのか眠くなる。
すると、少し冷えた私の体にフワリと温もりに包まれそれが静香のだと気づくのには時間はいらなかった。
首に回された腕に手を添える。
「…明日から高校生だね」
『うん』
「できたら、オレは行かせたくない」
腕はさらに力強く抱きしめてくる。
「美希はいつも無理して笑って、辛いこと悲しいことは自分の中に閉じ込める。」
『無理なんて…』
「ほら、また。…オレにだけでも甘えていんだよ」