二次創作ドラゴンクエスト~深海の楽園~

「ミディア…頼む見つかってくれ…!」

家の中を捜索したが、やはりここにもいなかった。家も段々崩れかけてきており、これ以上長くいると天井が落ちてきて押し潰されてしまう。レドは大広間に戻り、家を出ようとした。

「くそっ!!」

レドは怒りで頭がいっぱいになり、大広間の崩れかけた暖炉に向かって槍を降り下ろし八つ当たりをした。煉瓦で出来た暖炉はガラガラと音を立ててことごとく崩れた。

「………ん?風か……?」

その瞬間、レドの身体を一陣の心地よい風が流れて行った。吹いてきた方向を見ると、崩れた暖炉の奥から吹いてきているのが分かった。

レドは咄嗟に槍で崩れた煉瓦を払って退かしていくと、暖炉の奥には人が通れるほどの大きさの穴が空いていた。レドはすぐさま穴に飛び込み奥へと進んだ。その瞬間、穴の入口が塞がれてしまった。ベネーラの家が崩れたのだ。

「気にすることはない、とにかく進まないと。」

レドは自分を奮い立たせるようにそう言い放ち、四つん這いで穴の中を進んだ。しばらく進むと目の前に小さな光が見え、その瞬間潮の香りが鼻をつつく。

「海だ!」

レドは急いで進んで行くと光は次第に大きくなり、予想通り村の反対側にある砂浜へとたどり着いた。

「ベネーラの父さんは非常時のために、暖炉の裏に逃げ道を作ってたのか…おかげで助かった…。」

レドが息をあらげながら海を眺めてそう言うと、改めて村の入口まで戻ろうとした。その時、レドの視界には砂浜に横たわる一つの人物を捉えていた。肉付のよいグラマラスな身体に赤いドレスを着たその人物は、金髪の長い髪を風になびかせながら、砂浜にうつ伏せに倒れ込んでいた。

「べっ……ベネーラ!?」
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