殺戮都市
「は、はは……なんだこれ、すげえ」


鞘に納まった日本刀。


少しだけ鞘から抜いてみると、刃が怪しく光をたたえる。


「マ、マジかよ……そんな物が貰えるのなら、ガチャも悪くねえな」


高圧的だったチンピラの目が、日本刀を目にしてから変わった。


バーコードもまた、この日本刀を真剣な眼差しで見ている。


ただ一人、女性を除いて、皆俺が手にした武器に若干興奮していた。


「あ、あんた達バカじゃないの!?何でそんなに浮かれてられるのよ。そんな武器を持って、私達は何をさせられるっての!?」


日本刀に興奮して、何をさせられるか……という事が一瞬頭の中から飛んでいた。


そうだよな。


何がどうなってるか分からない状況には変わりなかったんだ。


でも、さっきの声は全員が一回以上ガチャをしろって言ってたし、しなければここから出られないんじゃないの?


「と、とにかくさ、ずっとこの部屋にいるわけにもいかないでしょ?言われた通りガチャをして、ここから出ましょう」


この、入り口も窓もない不思議な部屋。


出られそうにないと感覚として分かるこの部屋から、出る事さえ出来れば何とかなりそうな気がしたから。
< 11 / 845 >

この作品をシェア

pagetop