殺戮都市
この女性の感覚が正しいんだろうな。


早く家に帰りたいと思ってるのに、武器を見て喜ぶ男に呆れる。


年上に違いないけど、可愛らしいこの人に嫌われたくはないな。


そんなスケベ心があって、弁解したんだと思う。


「ガチャって……本当にそれでここから出られるの?私達をここに連れて来たやつの言う事を本当に信じてるの?」


だけど、この女性は疑っている。


確かに言う通りなんだよな。


俺達は無理矢理こんな所に集められて、わけの分からない事をさせられようとしているのだから。


信じる方がどうかしているのかもしれないけど、他に方法がないじゃないか。


「おい、ゴチャゴチャうるせぇぞ。全員がガチャをしないと出られねぇなら、他に選択肢はねぇだろうが。早くやれよ」


こんな可愛らしい女性にも、物凄い睨みをきかせるチンピラ。


その圧力に負けたのか、女性は渋々端末に視線を落として操作を始めた。


「わ、分かったわよ……あんた達、本当に頭の中どうにかなってるんじゃないの?」


ブツブツと文句を言いながらも、ガチャる!を選択した女性。


端末から光の渦が現れて、俺がやったように女性はその中に手を入れたのだ。


そして、腕がゆっくりと引き抜かれた。
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