殺戮都市
その言葉を聞いて、俺は自分の身体を止められなかった。


怒りが全身を駆け巡り、日本刀を握り締め、男に向かって駆け出していたのだ。


だけど……視界の端に見えた亜美の姿。


この子に、人を殺す所を見せて良いのかという想いが、俺を踏みとどまらせる。


振った日本刀。


それを、男の首にピタリと当てて、俺は呼吸を整えた。


「……亜美から手を放せよクソ野郎」


「誰だテメェは……その腕……南軍の野郎がどうしてここにいる!?」


「中央部を越えて来たんだ!」


少しでも強く……動けば殺されるという風に錯覚させる為に、俺は男を睨み付けた。


この男がどれだけ強いやつかは分からない。


だけど、こんな卑怯な事をするやつなんだ。


大した事ないに決まってる。


「分かった……ガキは放す。ほら、これで良いだろ?その武器を下ろせよ」


その言葉の通り、男は亜美から手を放した。


だけど俺はどうする?


思わず飛び出してしまったけど、冷静に考えれば非常にまずい状況に陥ってるんじゃないか?


仮にこの男を見逃せば、仲間を呼ばれて身動きが取れなくなる。


殺したとしても、ソウルがあるなら東軍のどこかで生き返って、仲間と俺を探すに違いなかった。
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