殺戮都市
心にポッカリと穴が空いたような感じがする。


東軍のキングが破壊されたと聞いた時は、悲しみ半分、怒り半分だったけど、今はその怒りをどこに向けて良いかも分からない。


悲しみに包まれて部屋を出た俺は、街を見下ろせる窓際へと歩を進めた。


ここからこの景色を見るのも三度目。


見るたび、大切な人を失っているような気がする。


ぱっと見は何も変わらないように見える街。


だけどそこに、亜美も優ももういないのだ。


いつまでも感傷に浸っていても仕方が無い。


そうは思うものの、悲しみがすぐに消えるはずがなくて。


エレベーターに乗って一階に降りた俺は、これからの事を考えていた。


北軍に向かうのは良いとして、恵梨香さんはどこにいるのか。


可能性があるとすれば、中川が戦えない人達をかくまっていたあの地下かな。


どこにいるにしても、北軍まで行かなければならないのだ。


ビルから出た俺は、久し振りに見る南軍の街並みに安心感を覚えた。


良い事なんて何もなかった。


正直好きじゃないけれど、ここが俺のホームなんだと、妙な安心感を覚える。


次はここに戻って来る事がないように、もっと強くならないと。
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