殺戮都市
「バベルの塔に……いや、それよりもキミは北軍に仲間が?」


少し驚いたようなおっさんに、俺は小さく頷いた。


ほんの一月前までは、お互いに直接攻防に関係のない陣営。


それが東軍と西軍が滅びた事により、完全に敵となってしまった。


「確かに陣地は違うけど、同じ人間じゃないか。この人だって北軍だけど、こうして生き残る為に協力しただろ。ルールだからって人間同士で殺し合うのがおかしいんだよ」


俺の言葉に、おっさんはさらに驚いたような表情を浮かべた。


間違った事は言っていない。


皆この街に毒されて、殺し合う事を強いられているのが当然だと思い込んでいるだけ。


俺だって沢山の人を殺した。


必要悪だなんて思えない。


殺したと言う事実は消えないし、言い訳をするつもりはない。


だから、この無意味な争いをなくす為に、俺は恵梨香さんと合流してバベルの塔に向かうのだ。


「……ああ、真治くんの言う通りだ。同じ人間で殺し合うなんて無意味な事だね。僕達は、そんな当たり前の事すら忘れていたよ」


人を殺さなければ強くはなれない。


強くなければ、生き残れない。
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