殺戮都市
言ってる事とやってる事で大きな矛盾が生じている事くらい分かってる。


恵梨香さんだって、それくらい分かっているはずなんだ。


それを分かった上で、バベルの塔に向かう為に力を蓄えていたんだ。


敵となった人間を殺す事で。


それは、俺にはない覚悟だ。


「キミが行くと言うなら僕は止めないよ。だけど、いつかみたいに街の中央部を通るつもりかい？今は怪物が溢れて、とても通れるルートじゃないよ」


「そう言えば、怪物が溢れて街に流れてきてるって聞いたな。だったらどこを通って北軍に向かえば……」


一番手っ取り早いルートが潰されてしまった。


そんな俺に声を掛けたのは、おっさんではなく北軍の男だった。















「そんなもん、西側の光の壁から行けば良いじゃねえか。まあ、次の戦闘まで待たなきゃならないけどな」















「そうか、北軍と南軍が隣接してるから戦闘が始まれば光の壁を通り抜けられるんだ」


物凄く初歩的な事だけど、ろくに南軍として戦闘に参加していなかった俺にとっては、そんな当たり前の事すら気付かなかった。


だけど……そこまで遠いな。
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