殺戮都市
良く見れば、その屋上にいる人間は、柵から身を乗り出して眼下にいる怪物達を、弓やボウガンで射ている。


遊びで狩りの真似事をしているのか、それとも自分達の安全を確保する為に必死なのかは分からないけれど。


そのビルしか行く場所がないから、例えどう捉えられようと、俺は飛ぶしかなかった。


「この距離……飛べるのかよ。俺じゃなくて狩野なら……飛べるんだろうな」


返事をして欲しい時には何も言ってくれない。


俺がやられれば、身体を乗っ取る事が出来るとか考えてるんだろうな。


高いビル。


柵から対面のビルを見て、俺は深呼吸をした。


助走を付けて、柵に足を掛けて大きくジャンプ。









……想像の俺は容易く大通りを飛び越えて、華麗にあのビルに着地した。


「よし、行くか」


失敗しても、この高さなら死ぬ事はないはず。


まあ、足の一本くらいは折れるかもしれないけど。


その時は、何とかビルに逃げ込めば良い。


久し振りに感じる、戦闘以外での不安が、妙に心地良く感じた。


心臓の鼓動が早くなっているのが分かる。


体育の授業で、体力測定をやっている時の緊張に似ている。
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