殺戮都市
「無茶言わないで!真治君が勝てる相手じゃない!」


そんな事は言われなくたって分かってる!


だけど、自分が逃げられそうにない事くらい分かるんだよ!


「グルルルルル……ガウッ!」


威嚇するように吠えた怪物の声に、今度は倒れない。


何度も同じ事で隙を作ってたまるか!


「時間くらい稼ぎます!」


半ばヤケクソ気味に叫んで、両手で日本刀の柄を握り締めた俺は、奈央さんの横に並ぶように、震える脚を一歩前へと踏み出した。


「もう!分かった。一緒に追い払う」


横に並んでみて分かる。


奈央さんも震えているという事が。


俺ほどじゃないにしても、逃げ切れる自身がないから、俺に逃げろと言ったのだろう。


「グアアアアアアッ!!」


そんな俺達の気持ちなど知ったことではない。


なぎ払うように振られた腕が、俺の左側から迫る。


「う、うわっ!」


その腕を切り落とすとか、回避するとかいう余裕なんて全くない。


構えた日本刀でガードするように、迫る腕の方に向けるのが精一杯。


グッと日本刀の刃に加わる重み。


そして、防ぎ切れなかった手が、俺の肩に当たって、その衝撃で弾き飛ばされたのだ。
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