色のない世界
「どうしたの?」

「いや…お前さ、ちゃんと笑えよ?」

「何?急に?」

「笑ったら、気分が沈んでても少しは気持ちがラクになるから。なっ?」

「うん?」

「よし、いい子だな」
そして、思い切り頭を撫でた。


最後くらい、いいよな。


そう自分に言い聞かせながら、その感触を、ずっと忘れないように噛み締めた。


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