鎖恋-僕たちクズですー
「ただいま」

「おかえり」

僕はコンビニのビニール袋を真奈に手渡し

「シャワー浴びるわー」そう言って、玄関から直接、浴室へと向かった。

「おっ♡もう裸にですか♡」相変わらず真奈はとぼけたことを言う。

「見るなよ。絶対。」

僕は真奈の視線を無視し、シャワーを浴び始めた。

家路につくあいだ中、過去の事を振り返っていたら頭がクラクラしていた。

「真奈の唇が・・・」あの出来事のことを思い出すだけで

胸がキュンとした。

あのまま大人になった僕たち。今さら・・・

「ありえないな・・・」

真奈とはあくまでもご近所さんということで

一線を置く覚悟をしていた。

「ゆうくん・・・まだー・・?お腹減ったよーー」

真奈が浴室の外でワンワンと・・・

いや・・・キャンキャンと・・・

子犬のように僕をせかす。

「もぉーーー」

僕はシャンプーを無造作に洗い流した。

過去のことはいったん保留だ・・・

泡と共に・・・

そもそも・・今、目の前にいるのは

仕事を辞めて逃げ出してきた真奈

ちょっとだけうちにいる年上のお姉さん

きっと、またそのうち家に帰るであろう。

「うん。きっとそうだ。」

シャワーの水が頭上から流れるたびに

頭の中はスッキリとしていく。

「おぅ。今出るからー」

浴室を出ると

ドアの目の前に真奈が立っていた・・・。

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