恋の神様はどこにいる?

言っていることは相変わらずの俺様発言なんだけど、その口調はいつもよりずっと優しくて。心にじんと染みてしまう。

「志貴はこうなることを予測してたっていうの? だからすぐに会社を辞めて巫女になれって……」

「俺は予知能力者でも何でもねーよ。おまえなら、巫女が務まると思っただけ」

「あ……」

なんか今、千里さんが言っていたことがわかったような気がした。

私は志貴が、その場しのぎで巫女の手伝いをしろって言ったり、なんの考えもなく巫女になれって言ったんだと思っていたけれど。

そうじゃなかったみたい。

千里さんの『志貴は志貴なりに、ここの仕事のことを理解してたってことかな』って言う言葉が、少しは理解できたような。

でもそうなると、志貴は私自信が気づいてない部分に気づいてる? 出会ってからまだ四日しか経ってないのに……。

「なあ、今何考えてる?」

「何って……」

「おまえ今、『あ』って呟いただろ」

「それは……。私でも巫女になれるのかなって思っただけで」

「なんだ、そんなこと。まあ少なくとも俺は、小町にならできると思ってんだけど? っていうかさ、俺の下で働くんだ。立派な巫女に育ててやるよ」

また出た、俺様発言。

志貴の下で働いたら、どんな扱いされることやら。心配でしょうがないんですけど……。

不安からため息が出そうなのに、私の心は晴れやかに躍っていて。

そのちぐはぐな思いが、私を翻弄していく。




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