恋の神様はどこにいる?
☆私、巫女になりました。

華咲神社の赤い鳥居が見えてきて、それがだんだん大きくなっていくと、階段の下に人影らしきものを発見。

それは右へ行ったり左へ行ったり、落ち着きなく動いていて。

「誰かいる?」

歩きながらもよく目を凝らして見てみると、白衣に浅葱色の袴を穿いた神主だということに気がついた。

「あの袴の色。もしかして、志貴?」

そう口から言葉を発した時には、もう私の足はパンプスを履いていることも忘れ走りだしていて。嬉しさのあまり、その人物に向かってまっしぐらに進んでいた。

「志貴!!」

私の呼ぶ声に、志貴が足を止めこっちに振り向く。その顔は安堵したようにも少し怒っているようにも見えて。大きく肩で息をすると腕組をして私を見据えた。

「小町、走るな。そんな靴で走ると転ぶぞ」

「だいじょーぶっ……!?」

飛び跳ねるように走っていたから、鳥居手前の小さな段差に蹴躓いて身体が前のめりに大きくよろめいた。

「おいっ、危ない!!」

志貴が私に向かって走り出す姿がスローモーションのように見えて。

あぁ~、こんな時にカッコ悪い……と思いながらも体勢を元に戻せないと悟った私は目を瞑り、次に来るであろう衝撃から実を守るように身体を縮めた。



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