恋の神様はどこにいる?

私の話を聞く前までの彼。あの時見せてくれた優しい笑顔。あの端正な顔立ちをクシャッと崩して笑う様を、私はどこかで見たような気がする。

一体どこで……。

「……あ~ん、わかんない!! っていうか、あんな性格の悪い男だったら忘れるはずがないし、きっと別人だね」

髪の毛をグシャグシャと掻きむしると、残っていたチューハイ手に取り全部飲み干した。

それにしてもあの男、どうして明日も神社に来いなんて言ったんだろう。

月次祭があるからとか何とか言っていたけど、それがあの男と何の関係があるっていうの?

ホント、よくわかんない男。

なんで私が、どこの誰か名前さえ知らない男と一緒にいなきゃいけないの?

そうよ!! 私、あの男の名前知らないし!!

「こっちにだけ名乗らせて自分は名乗らないなんて、なんて卑怯なやつなの!!」

なんかまた、無性に腹が立ってきた。

あの男は私の名前を知ってるというのに、私はあの男の名前を知らないなんてフェアじゃない。

よっしゃ!! 行ってやろうじゃないの、明日の午後1時に華咲神社へ。

待ってなさいよ、詐欺野郎。その偉そうな鼻っ柱、へし折ってやるんだから!!

そうと決まれば、お酒なんて飲んでる暇はない。

「さっさと晩御飯を食べて風呂に入って、明日に備えて早く寝なくっちゃ」

 *  *  *



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