恋の神様はどこにいる?

「志貴、頑張ってるでしょ。最近、神職としての実力もかなりついてきててね。神職の階位は権正階、神職身分としてはまだ僕の一つ下の三級だけど、研修会にもよく参加してるし本も読んで勉強は欠かさずしてるよ」

「そうなんですか」

そんなこと、全然知らなかった。

もちろんまだ知り合って間もないし、そんな話をしたことがない。でも、そんな素振りも見せたことがないから意外と言えば意外で。

「特にここ最近、寝る間も惜しんで頑張ってるんだよなぁ~志貴の奴。何か心境の変化でもあったのかなぁ。ねえ、小町ちゃん?」

「は、はい? なんでそんなこと私に聞くんですか?」

「あれ? 何だ、小町ちゃん気づいてないの?」

気づいてない? 何に?

千里さんの言ってる意味がよくわからなくて首を傾げると、千里さんは驚いたような顔を見せた。

「そっか。これは志貴、なかなか苦労しそうだね。でも気持ちは通じあってるか……。うんうん、いい感じいい感じ」

千里さんはひとり納得したように何度か頷くと、手をひらひらと振って社務所に戻っていってしまった。
今のは一体何?

志貴が頑張っていることはわかったけれど、あとの部分は謎のまま。志貴の心境の変化に、何か関係があるのだろうけれど。

何気なく授与所のいる志貴に視線を移動すると……。

「ヤバッ」

怒った顔をしてこっちを見てる、志貴の視線とぶつかって。すぐに目を逸らすと、一目散に授与所へと向かった。



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