恋の神様はどこにいる?

「もしかして、五鈴さん怒っちゃったとか?」

「なんで? おまえが泣いた理由教えたら、五鈴喜んでたぞ」

「じゃあなんで、五鈴さんは授与所に?」

「それはだな。五鈴がいると、いろいろ面倒だからだ」

「そうなの?」

「なんだよ。俺とふたりで稽古するのは不満か?」

「そんなことはないけど」

「だったらいつまでもこんなとこにいないで、さっさと稽古始めるぞ」

そう言うと、志貴はズンズンと部屋に向かって歩き出す。

結局のところ。なんで志貴に抱きしめられたのか、どうして五鈴さんは授与所の手伝いに行ったのかわからないままで。

「志貴に聞いても、教えてくれないよね?」

本当は、ちゃんと知りたいところだけど。今はそれよりも、巫女舞の稽古をすることが先決。

深呼吸をして気持ちを切り替えると、志貴の背中を追った。



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