恋の神様はどこにいる?
「志貴!!」
いつもの神職の衣装を身につけた志貴が、怒ったような顔をして立っていた。
一体これはどういうこと?
志貴は今日、結婚するはずで。なのに紋付袴を着ているのは、志貴じゃない?
あれ? でもこの人。よく見ると、志貴にどことなく雰囲気が似ている? と言うか、千里さんにそっくりじゃない?
ふたりを見比べて顔をキョロキョロ動かしていると、ドカドカと近づいてきた志貴に頭を小突かれた。
「お前は本当の馬鹿だな。誰が結婚するって?」
「志貴……じゃないの? だって『五鈴が妹になる』とか『志貴も頑張ってくれてる』とか、千里さんと五鈴さんが話してたの聞いて」
だから私は、志貴のことを諦める決心をしたというのに……。
今日結婚するのは志貴じゃなくて、志貴と千里さんに似たこの人?
紋付袴を着た人に視線を向けると、目がバッチリ合ってしまう。
「す、すみません」
驚き俯くと、ププッと笑われてしまった。
「何も謝らなくてもいいのに。初めまして。僕は志貴の兄で、千里と弟。野々宮家次男の出雲(いずも)です。いつも志貴がお世話になってます」
「おい、いず兄。世話してんのは俺の方だっつうの。そこんとこ、間違えるなよ」
「はいはい。志貴は変わらないね。好きな子の前だと、強気な発言するの。小町ちゃん、だっけ?」
「はい」
「コイツ、態度はふてぶてしいけど、根は優しくて良い奴だから。末永くよろしくね」
出雲さんはそう言うと、私にウインクをした。