恋の神様はどこにいる?
が・ん・ば・れ───
それは、特に何の変哲もない応援の言葉。なのにたったそれだけの言葉で身体の震えが止まり、ヤル気が漲ってくるから不思議。
恋は盲目……常識をも狂わせるとは、よく言ったもんだ。
伶人(れいじん:雅楽を演奏する人)が演奏を始めると、深呼吸をひとつ。精神を統一させると、和歌ちゃんに続いて舞台の中央に立った。
ひとつひとつの動きを丁寧に。神楽鈴を打ち鳴らすときはしっかりと。
志貴に教えてもらったことを思い出しながら、ゆっくりと艶やかに舞う。
気づけば浦安の舞の奉納は終わっていて。スッと立ち上がると、その場を後にした。
そのあとは誓盃の儀、いわゆる三三九度で夫婦の契りを結び、指輪交換の儀。誓詞奏上(せいしそうじょう:新郎新婦が新婚生活を始めるに際しての誓いの詩を奏上すること)、玉串奉奠(たまぐしほうてん:神前に玉串をお供えし二拝二拍手一拝の作法にて拝礼すること)を終えると、最後に神職に合わせて神前にに一礼して結婚式は終了となった。