恋の神様はどこにいる?


「志貴!! 小町ちゃんに、ちゃんと謝るんだよー」

和室からは、お婆ちゃんの志貴に向かって叫ぶ声が聞こえてきた。

「わかってるよ!! ったく、婆ちゃんはいちいちうるさい」

「でも孫想いの、いいお婆ちゃんじゃない」

「まあな。それより、さっきは悪かった」

「うん? 何が?」

「巫女姿、結構似合ってる」

志貴はそれだけ言うと、何も話さなくなってしまって。

今のって……。冗談じゃないよね?

私の手を握り黙々と歩く志貴の耳が、赤くなってるようにみえるのは気のせい? もしかして照れてる?

私はこの時、お婆ちゃんが言った『根はいい子』という言葉が、ちょっとだけわかったような気がした。



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