恋の神様はどこにいる?
アホ面とか可愛げないとか言ってたくせに、どういう風の吹き回し? これは巫女の姿が起こした奇跡?
驚き固まっている私を見て、志貴がまたブブッと吹き出した。
「ホント小町って単純。冗談に決まってんだろ」
「冗談……」
そうだよね。さっきも騙されたばかりじゃない。なんで私、志貴の言葉なんか信じてるんだろう……。
「志貴!! 女の子をからかうのも、いい加減にしな!! ちょっとはマシになったと思ってたけど、そういうところは治らないのかねぇ」
お婆ちゃんが私を庇うように、志貴と私の間に入る。
「小町ちゃんって言うのかい? この子は口は悪いけど、根はいい子なんだよ。この婆ちゃんに免じて、許してやってくれるかい?」
「え? ああ、全然大丈夫です。何も怒ってないですから。それよりも、挨拶が遅れてすみませんでした。私、真野小町といいます」
「うんうん、良い子だねぇ。お婆ちゃん、あんたが気に入ったよ。なんだい? 今日からここの巫女になったのかい?」
「いえ、違います。って言うか、私もなんで自分が巫女の格好させられてるのかさっぱり」
「おっそうだった!! 小町、行くぞ」
「え? えぇっ!?」
志貴は私の手を取ると、慌てて部屋を出て行く。