恋の神様はどこにいる?

お婆ちゃんはどこかへ出かけてしまったらしくひとりで巫女の衣装を脱ぐと、綺麗にたたんで部屋の隅にそっと置く。お婆ちゃんにお礼をするつもりで部屋に一礼すると、志貴に言われた場所へと急いで向かった。

「お待たせしました」

「おう。なんだ、早かったな。じゃあ行くか」

志貴の前には、一台の白いライトバンがある。

「え? これで行くの?」

「そうだよ。また文句言うつもりかよ」

「別にさっきも文句言ってないし」

『口に出しては』と、心の中で付け加える。

でも正直、驚いた。志貴のことだからカッコつけて、外車とかスタイリッシュな車に乗ってるとばかり思っていたのに。

「早く乗れ」

志貴に言われて助手席に乗り込むと、後部座席には神社で使うものなのか、箱がたくさん積んであった。

「なに、おまえもアレ? もっとカッコイイ車に乗ってて欲しいとか思ってるわけ?」

「いや、そんなことは思ってないけど。これって神社の車だよね?」

「そう。俺今忙しいし、車何台もあったって邪魔なだけだろ」

意外だ。性格はともかく、これだけカッコ良ければ女性も放っとくはずないだろう。でもデートにこの車で現れたら……。

間違いなく、幻滅されるんじゃない?



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