恋の神様はどこにいる?

でもそうだよね。今は仕事が忙しくて彼女はいないようなこと言ってたけれど、好きな人もいないとは言ってなかった。

雅斗さんも言ってたとおり、志貴は二十八歳。そろそろ結婚を考えたっていい歳だ。そんな志貴にだって、好きな人がひとりくらいいたっておかしくない。

そっかぁ、志貴好きな人いたんだ……。

「どうした、小町? なに、俺に好きな女がいるって知ってショック受けちゃったとか?」

「な、何言っちゃってんの!? そんなことでショック受けるわけないで……」

「いないから安心しろ。安心して、お前は俺を落とすことだけ考えてろ。いいな?」

志貴は耳元に顔を寄せると、小さな声でそう呟く。そして志貴の唇が私の耳朶を掠めると、さっと身体を離した。

志貴の急接近に、激しく鼓動を打つ心臓。その動きについていけない私。

顔は次第に熱を帯びていき、それはすぐに全身へと伝わっていく。

いないから安心しろって、それじゃあまるで私が志貴のこと好きみたいじゃない。何馬鹿なこと言っちゃってんのよ!!

心の中ではそう思っているのに、口は志貴にその言葉を伝えようとはしてくれなくて。



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