恋の神様はどこにいる?

「キス」

「うん? キスがどうしたの?」

「されたの、志貴に」

「はあ!? なんで? まあキスなんか、アメリカでは挨拶みたいなものだしね」

「でもここ日本だし。お姫様抱っこされて、暴れる私をおとなしくさせるためにしたキスだったと思うんだけど……」

「だけど何よ?」

「それだけじゃなかったような、そうであってほしくないような……」

「言ってる意味はさっぱりわからないけど、小町やっぱり気になってるんじゃない」

そう言われ、反論する言葉を失う。

香澄が言うとおり、私、志貴のことが気になってる。だってことあるごとに志貴の顔が頭の中に浮かんでくるし、志貴が言った言葉を反芻する自分がいる。

「でも、まだ彼に会って三日しか経ってないし」

「ねえ、一目惚れって言葉があるでしょ? 人を好きになるのに時間なんて関係ない。気持ちの赴くままにってね、わかる?」

「うん、なんとなく」

「じゃあ、直ぐに行動。明日、会いに行っておいで」

「明日!? それは早過ぎるんじゃない?」

「こういうことはタイミングが大事なの。いい? 行かなきゃ絶交だから」

「わ、わかった……」

香澄なら本当に絶交しかねない。それはちょっと困るし香澄が言ってることもわかるだけに、そうは答えてみたものの。

どんな顔をして、志貴に会いに行けばいいんだろう……。

私は戸惑う気持ちをかき消すように、残っていたビールを一気に仰いだ。



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