恋の神様はどこにいる?

「やっぱり日本酒には、ホッケよね」

あんたは、おっさんかっ!!

可愛い顔をしてるのにお酒とつまみが大好きな香澄に心の中で悪態をつくと、ため息を付きテーブルに目線を落とす。

すると、ちょっと前に運ばれてきたサラダが目に入る。この店の人気メニュー『大将のこだわりサラダ』はボリューム満点で、ツナとコーンとハムがこれでもかってくらい大量に乗っかっていて。

ハムかあ……。

そういえば、今朝志貴が作ってくれたハムエッグ。私の好きな半熟の黄身で美味しかったなぁ。

男の人に朝食を用意してもらうなんて初めてのことで。なんだかくすぐったい気持ちになってしまって、テーブルの上を見た時は思わず『本当に簡単』なんて口走ってしまったけれど本当はかなり嬉しかった。

「もう小町ったら、何ひとりでニヤニヤしてるのよ? あっもしかして、神主さんのこと思い出しちゃってるの? 小町ったらヤラシイ~」

「なんでそこで、ヤラシイ~が出てくるのよ!! 志貴のことは考えてたけど、べつにいやらしいことは考えてないし……」

「やーっぱり、神主さんのこと考えてたんじゃない。小町ってわかりやすい」

「もう……」

まんまと香澄の口車に乗せられてしまった。

でも言ってしまったことは、消せないわけで。もう一度ため息をつくと、まだひとつだけ話してないことを香澄に話した。



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