恋の神様はどこにいる?
「ところで小町ちゃん。ここからはちょっと真面目な話。志貴に巫女になれって言われたみたいだけど、本当に巫女になるつもり?」
「それは……」
「さっきも話した通り、巫女は思っているよりも重労働なんだ。大祭や正月の時は徹夜なんてこともあるしね。あ、そうそう、小町ちゃんは今いくつ?」
「二十四です」
「そっか。巫女の定年はね、厳密ってわけじゃないけど、だいたい二十八歳までと言われてるんだ。未婚の方が好ましいともされてて、結婚したら辞めてもらう神社もあるくらいでね。まあうちはその点に関しては寛大な方だと思うけど、長くは巫女を続けられないと思うんだよね。大体三十歳くらいまでかな。その後、事務員っていうか残る方法もいくつかはあるんだけど」
「残る方法?」
「うん。例えば、神社の誰か。うちで言えば、僕か志貴と結婚するとか」
「えぇ!! 結婚ですか!?」
千里さんったら、何とっちらかっちゃったこと言ってるの?
まだ付き合ってるわけでもないし、ましてや、巫女になるって決めたわけでもない。
それをすっ飛ばしちゃって、いきなり結婚とか。
あり得ないし……。
「小町ちゃんのひとり何かを考えてる時の顔、面白いね」
「もう、千里さんったら。でもそういうところ、やっぱり志貴と兄弟ですね」
「いや~、志貴と同じにはしてほしくないなぁ」
段々、千里さんの本性が見えてきたような気がする。
これはかなり腹黒いと見た。
志貴が言っていた『羊の皮を被ったオオカミ』と言うのも、あながち間違いじゃないのかもしれない。