恋の神様はどこにいる?

時計を見れば十八時を回っている。梅雨入りしたと言っても六月のこの時間はまだ外は明るくて、時計を見てもうそんな時間なんだと驚いてしまうこともしばしば。

でも今日は思っていた以上に散らかっていた部屋の片付けを念入りにして疲れたせいか、腹時計が私にその時間を教えてくれた。

『もうすぐ晩ご飯の時間ですよ』って───

相変わらず、私のお腹は正直みたい。

それがちょっとおかしくて、ひとりでクスッと笑ってしまう。

それにしても志貴、本当に来るのかな? 仕事が終わったらすぐ行くって言ってたけれど、神社にも定時ってあるんだろうか?

社殿の閉門時間は十七時。巫女を手伝った時、志貴は私がいたからかすぐに仕事を終えたみたいだけど、千里さんたちはまだ何かをしていたようだったし。

それに晩ご飯は? 仕事をしてきた後だから、志貴だってお腹空いてるよね? 何か用意しておいたほうがいい?

そんなことを考えだすとなんだか気が落ち着かなくて、じっとしていられない。

冷蔵庫を開けてみても、普段あまり料理らしいことをしないから特に何も入ってなくて。あるのはチューハイとおつまみのチーズくらい。

「単身赴任中の、お父さんの冷蔵庫みたい……」

今どきは単身赴任のお父さんのほうが、ちゃんと料理をしているかもしれない。



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